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人工知能の誕生と『過去3度のAIブームと衰退』の歴史

AIブームは過去3回起こり「ブーム期」と「衰退期(冬の時代)」を繰り返しており、現在は3次AIブームに差し掛かっています。

過去2回のブームは、人工知能が実現できる技術的な限界よりも社会が人工知能に対して期待する水準を上回ることでその乖離が明らかになることでブームの終焉を迎えました。

本記事では、過去3度のAIブームと衰退を振り返り、その背景や影響を網羅的に探ります。

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AIブーム主なキーワード衰退理由
第1次探索と推論トイプロブレム
第2次エキスパートシステム知識獲得のボトルネック
第3次機械学習
ディープラーニング
(シンギュラリティ?)
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人工知能の概念の誕生(1950年〜)

イギリスの数学者アラン・チューリングが1950年に出した著書『計算する機械と人間』の中で、「機械は考えることができるか?」について唱えています。

AI誕生の先駆け「チューリングテスト」

当時チューリング氏は「機械が思考したかどうか」は「人との会話が成立したかどうかで判断する」とし、これを「チューリングテスト」と呼んでいます。

「人工知能」という言葉の誕生

1956年にアメリカで開かれたダートマス会議でジョン・マッカーシーが「人間のように考える機械」を「人工知能」と表現したのが最初です。

「アラン・チューニングによる人工知能の概念の確立」「ダートマス会議でジョン・マッカーシーが人工知能という言葉を定義」これらの過程を機に、AIは一気に世の科学者たちに認知されるようになり人工知能に関する研究が活発化していきます。

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第1次AIブーム(1960年〜)

第1次AIブームは、1960年代に起きました。推論・探索の時代と言われます。

「推論」と「探索」の時代

まず探索とは、迷路等の進むべき方向が複数あるときのゴールへの生き方の探索、あるいは、ボードゲームの次の手について、探索木(たんさくき)の手法で解決しようとしています。

2分探索木

探索のプログラムの進化、特にオセロやチェス、将棋などのゲームでは、探索すべきパターンが膨大であるが、モンテカルロ法が採用されたことが、プロを破るほどに進歩した大きな要因である。

基本はその場面の特徴量を基準評価を行う様にプログラムは振舞うが、モンテカルロ法では、ある程度まで局面が進んだ段階で特徴量での評価を放棄して、次の手をランダム刺すとして、その手が勝利した割合で評価する様にプログラムする。この影響でプロに勝利するほどの成果をあげることができました。

第1次AIブームの終焉|AIの限界論

当時のプログラムは非常に限定的な状況でしか効果を発揮しないものであることがわかってきました。さらには、ニューラルネットワークが特定の分野で限界に達したこと、米国政府が機械翻訳の成果は当分先との報告書を出したことにより、第1次ブームは1970年代終わり、人工知能研究は冬の時代を迎える。

覚えるべきキーワード

第1次AIブームを理解するためのキーワードは以下の通りです。

推論問題解決に必要な知識を蓄積し、それを用いて新たな知識を導き出す技術
探索可能な解の中から最適な解を見つけ出す技術
モンテカルロ法ランダムサンプリングを用いて近似解析する手法
AI冬期AI研究の停滞期。期待された結果が出ず、研究資金が枯渇した時期

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第2次AIブーム(1980年〜)

第1次ブームの時に作られた対話システムのIRAIZAは、知識ベースのプログラムはない簡単なルールをベースとしていますが、あたかも知的に振る舞うことができたがルール外の文言への対応力は高くなかった。

「知識」の時代

第2次ブームは1980年代、知識をベースとした人工知能が活躍した。

エキスパートシステムの発展

第2次ブームでは「エキスパートシステム」が発展した。エキスパートシステムは、IRAIZAのようなルールに加えて、その分野の専門知識を取り込むことで、あたかもエキスパートのように振る舞うプログラムである。

主なエキスパートシステム

・スタンフォード大学で1970年代初めに開発されたMYCIN(マイシン)。MYCINは血液疾患患者に適切な抗生物質を提示するシステム
・生産・会計・人事・金融などさまざまな分野でエキスパートシステム。
・未知の有機化合物を特定するDENDRAL。

エキスパートシステムの課題

専門知識の蓄積の手間がかかったり、ルールが増えすぎるとお互いに矛盾したり、あいまいな条件下ではその判断が難しく、常識的なレベルの知識のプログラムのハードルが高かった。

その背景もあり、知識表現の研究が進められ、有名なものとして「意味ネットワーク」のモデル等がある。

人間の持つすべての一般常識をコンピュータに入力するプロジェクト等もある、サイクプロジェクト。30年たったいまだに書き終えることは完了していない。

こうした背景の中、知識を記載すること自体に関する研究が行われる様になり、オントロジー研究につながった。オントロジー研究は、大きく2つの流派にわかれ、「ヘビーウェイト・オントロジー」「ライトウェイト・オントロジー」と別れていく。

「ライトウェイト・オントロジー」研究の成果として、IBMのワトソンがある。このシステムは、クイズの回答において人間に勝利することができた。

第2次AIブームの終焉|AIの限界論

第2次AIブームでは人工知能での知識利用の面で大きく進歩したが、コンピュータその物が意味を理解することに関して解決できていない文章を正確に解釈するには状況や文脈の判断などの一般常識が必要になるが、この一般常識がコンピュータには難しい。

こういった問題から人工知能研究に限界があると考えられ、1995年ころには第2次ブームは去り、人工知能研究は再び冬の時代を迎える。

コンピュータが持つ主要な課題
  • 「知識獲得のボトルネック」    知識を獲得することの難しさ
  • 「フレーム問題」         関係ある知識だけを取り出して使うのが困難
  • 「シンボルグラウンディング問題」 記号と意味の紐付けが難しい

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第3次AIブーム(2010年〜)

ビッグデータと呼ばれる大量のデータの利用のため、特徴量を自ら習得するディープラーニング(深層学習)が登場したことで、人工知能自ら知識を獲得する機械学習が実用化されました。

「機械学習」と「特徴表現学習」の時代

知識を定義する特徴とその特徴量を人工知能が自ら判別し学習するディープラーニング(深層学習)が技術的なブレークスルーを起こしたことがブームの背景にある。

象徴的な出来事

AlexNetが圧倒的差でILSVRC2012を優勝

2012年 ILSVRC(Imagenet Large Scale Visual Recognition Challenge)の画像認識競技でトロント大学のジェフリー・ヒントン率いるSuperVisionチームが開発したAlexNetが圧倒的な成績で優勝した。

AlexNet
  • 畳み込み層5層にプーリング層3層の計8層のディープニューラルネットワーク
  • 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の一種

碁のプログラムAlphaGoが人間に勝利

2015年10月にヨーロッパ王者のプロ棋士樊麾(ファン・フイ)を5-0で破る。初めてAIがプロレベルの人間にハンディキャップなしで破った。

2016年3月に数多くの世界戦優勝経験のあるプロ棋士李 世乭(イ・セドル)九段に挑戦し、4-1で勝ち越す。

AlphaGo

Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラム

自動車の自動運転実用化

2021年3月ホンダが世界初となるレベル3の『自動運転』車を発売

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シンギュラリティに関する懸念の台頭

シンギュラリティとは

人工知能が十分に賢くなって、自分自身よりも賢い人工知能をつくれるようになった瞬間、無限に知能の高い存在が出現するというもの

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) | 松尾 豊 (著) 

現実世界では人工知能の技術を用いて、チェスや将棋、オセロ等のボードゲームやクイズ等の特定の条件では、すでに人間を超えています。

自動車やロボットの様なハードウェアにおいても、人工知能を利用して、「自動運転(オートノーマス)」の技術開発が盛んになってきています。

インターネットの分野では検索エンジンで機械学習と呼ばれる人工知能の技術が使われている。

一方で、人工知能技術が発達するにつれて人工知能が人の仕事を奪うのではないかという懸念や、シンギュラリティに関する脅威論が出てきている。

有識者の見解

G検定には高頻度でシンギュラリティに対する有識者の見解についての出題があります。必ず「誰が」「何を」提唱したか把握しておきましょう。

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有識者見解
レイ・カーツウイルシンギュラリティは2045年に到来する
ヒューゴ・デ・ガリスシンギュラリティは21世紀の後半に到来し、そのとき人工知能は人間のち脳の1兆の1兆倍になる
イーロン・マスクシンギュラリティの到来に危機感を持ち、非営利のAI研究組織OpenAIを設立
オレン・エツィオーニたとえば100万年後、特異点を迎える可能性はあります。けれど賢いコンピュータが世界制覇するという終末論的構想は「馬鹿げている」としか言いようがありません
ヴァーナー・ヴィンジシンギュラリティは機械が人間の役に立つふりをしなくなること
スティーブン・ホーキングAIの感性は人類の終焉を意味するかもしれない
シンギュラリティに対する有識者の見解

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まとめ

1956年に人工知能の概念が提唱されてから、その定義が定まらないまま人工知能の進化に伴い、分類化が進められています。AI効果が原因で、その時代での人工知能の定義は変わってくるイメージはつかめるのではないでしょうか。

この記事では第1次〜第3次AIブームの主要なトピックについて解説していきました。AIのトレンドの大きな流れを理解することで、AIのニーズとその応用に関する知識を体系化できたのではないでしょうか。

また、近年AIの進化とともに台頭するシンギュラリティという人工知能に対する脅威論も必然的なことなのではないでしょうか。そして、現代社会ではAIに関する法整備や倫理規定の必要性を認識していきます。

現在進行中の第3次AIブームはディープラーニングの台頭によってブレークスルーしブームの最中ですがどのように終焉するのでしょうか。はたや、AIなしでは成り立たない社会になることでAIブームの終焉は迎えることはないという可能性もあると思います。

G検定の全体的な学習方法は下の記事にまとめているので参考にしてみてください。

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